2007年01月03日
土壌汚染の歴史~公害問題から環境問題・グリーンビジネスへ
足尾銅山:明治17年当時

こんにちは。馬場です。
今年もよろしくお願いします。
さて、土壌汚染問題について考えるにあたって、改めて過去の経緯から押さえてみたいと思います。
環境問題としての土壌汚染が注目されるようになったのは最近の事であり、「土壌汚染対策法」として施行されたのが2003年の事ですが、土壌汚染・水質汚染・大気汚染自体は古くから公害問題として認識されて来ました。
<’70年まで>
日本では明治期の足尾鉱毒事件に始まり、1950・60年代には4大公害(水俣病、第二水俣病、イタイイタイ病、四日市喘息)をはじめとする公害問題が全国各地で深刻化して行きました。
これらの公害事件を契機として、1958年に「水質保全法」「工場排水規制法」が、1970年に「公害防止事業費事業者負担法」「水質汚濁防止法」「農用地の土壌汚染の防止等に関する法律」が制定されています。
この時代までの特徴として実害を契機に法制度が整備されたこと、土壌汚染については主に農用地の問題として扱われていたことが挙げられると思います。(この農用地土壌汚染については、現在までに対策事業が進んでおり、平成17年時点で対策事業完了面積が6,386ha、今後対策が必要な面積が941haとなっています)
<’70年以降>
昨今話題となっている市街地の土壌汚染問題が認識される契機となったのは、1973年に東京都江東区、江戸川区で発生した六価クロムによる土壌汚染と言われています。都が化学会社から買収した地下鉄用地及び市街地再開発用地で、大量のクロム鉱さいの埋め立てが判明した事に端を発しています。
その後も、90年代には広島県の化学薬品工場跡地の再開発計画途中で、水銀、PCB等の汚染が判明、デパート建設が頓挫したり、その他にも、不動産取引や再開発に際して、工場跡地などから土壌汚染が発見される事例が起こっています。
その間、1986年に「市街地土壌汚染に係る暫定対策指針」、1991年には「土壌の汚染に係る環境基準」が定められています。その後再三の見直しや改訂が図られましたが、指針としての域を出る事はなく、市街地の土壌汚染対策を直接に規制する法律としては2003年施行の「土壌汚染対策法」が初めてのものとなりました。
70年以降の土壌汚染は、人への実害が全く無かった訳ではありませんが、それ以上に、危険物質、有害物質とされるものが、不動産取引や再開発にともなって発見され、問題として顕在化して来たということが言えそうです。
環境規制が今程厳しくなかった時期に、都市化・工業化がある程度進行した地域では、掘り返せば化学物質汚染が顕在化するのは、必然という見方もあります。
本来であれば、当の物質そのものの危険性はどうなのか、作用のメカニズムはどうなっているのか、それらの物質は私たちの生活にとって必要なものなのか、ということが問われて来ると思います。これは、他の化学物質汚染(大気、水、食品等)も同様でしょう。
また、規制の整備、法制化が進むほど、基準に対する超過事例が増えているという事実もあります。その中で、調査、対策件数と、その事業費は増え続け、土壌汚染対策はグリーンビジネスの中でも成長分野と捉えられています。先駆事例としてのアメリカでは、そもそも産業跡地の再利用を促進するために、土壌汚染の浄化を法制化して来た側面もあるようです。
過去の土壌汚染は、私企業の利権追及が生み出したものと言えそうですが、現在の状況は、環境対策に名を借りて、さらに市場拡大を求めて進行しているようにも見えます。
これらの点についても、継続して考えて行きたいと思います。
by 馬場
- by sbaba
- at 20:25

comments
>過去の土壌汚染は、私企業の利権追及が生み出したものと言えそうですが、現在の状況は、環境対策に名を借りて、さらに市場拡大を求めて進行しているようにも見えます。
そのとおりだとおもいます。現在の土壌汚染対策法制が整ってから、汚染土壌受け入れ施設や処理無害化のための装置製造業の売り上げは伸びています。その費用は、新規の建物建設費用に上乗せさて、建設費は高騰しています。
この費用自体がまったく無駄だとは思いませんが、肝心の汚染化学物質の危険度合いの研究や、使用規制が先にあってしかるべきだと思いますが、こちらはあまり話題になりません。
本当にみんなの未来を考えるのなら、汚染化学物質の危険度合いの研究と、それに基づく使用規制の共認形成が急務だと思います。それを阻害しいる市場原理そのものの矛盾を白日の下にさらすということも含まれると思います。
Hondaさん、コメントありがとうございます。
法制化に伴う新規市場形成という意味では、再開発や不動産取引に伴う調査、コンサル業務も目立ちますね。
ネットや書籍で調べてみても、汚染物質そのものや、それがどのような事態に繋がっていくのかといった事にはあまり触れられずに、対策事業についてのアピールやビジネスチャンスとして捉えているものが非常に多いです。それらの事も、皆の追求を困難にしている一因だと思います。
そもそもの土壌は、生態系の中でも重要な役割を持っていると思いますが、現在の状況はそれとは全くかけ離れたところで進行していると言わざるを得ません。
小鳥が丘団地土壌汚染訴訟の第2回口頭弁論がH19年12月11日(火)10:15分から岡山地方裁判所であります。
(住民3名が、両備ホールディングス㈱(旧両備バス㈱)を提訴)
~ 傍聴歓迎 ~
小鳥が丘団地救済協議会
http://www.geocities.jp/kotorigaoka/
失礼します。
岡山市の「小鳥が丘土壌汚染問題の経緯」 というページがありましたのでお知らせします。
http://beauty.geocities.jp/oecacasa/kotorigaokanorekisi.htm
よろしくお願いします。
★裁判所による“現地検証”が行われます★
日時 ; H20年5月30日(金)13:30分~15:30分
場所 ; 小鳥が丘団地現地
~ 関心のある方の立会い歓迎 ~
http://www.geocities.jp/kotorigaoka/
★裁判所による“現地検証”が行われます★
日時 ; H20年5月30日(金)13:30分~15:30分
場所 ; 小鳥が丘団地現地
~ 関心のある方の立会い歓迎 ~
http://www.geocities.jp/kotorigaoka/
小鳥が丘 土壌汚染裁判の弁護士が講演
おおさかATCグリーンエコプラザで開催される「土壌汚染対策法8周年セミナー」では、両備が岡山で販売した一戸建て住宅である小鳥が丘団地の土壌汚染裁判の一次訴訟の弁護士である河田英正氏が講演されます。
我が国の土壌汚染裁判を考える上で、重要な講演になると思いますので、お知らせします。
http://blogs.yahoo.co.jp/totitorihiki/36924952.html