2007年02月05日
世界のトイレ事情~下水道に頼らない『エコサン』とは?~
こんばんは
かっし~です
ヤフーでこんなニュースを発見
リサイクル下水、飲むしかない…干ばつ豪、08年から
オーストラリアで干ばつによる深刻な水不足から、飲料水にまで影響
そのため、下水を飲料用にリサイクル処理した水を使用せざるをえないというものです
人々の反発は大きいようですが、飲料水ではなく、トイレで流す水が優先されるとは、矛盾だらけのように思います
ここでは、下水の質が問題とされていますが、今までのブログでも述べてきたように、現在の、生活雑排水を全て下水道に流して、下水処理施設で処理することは色々な面で問題点を抱えているということです
今回は、いよいよ、下水道に頼らない、新たなウンチ・オシッコの行方のお話です
下水道ではない、かといって、日本古来の汲み取り式便所ともちょっと違う、処理方法に可能性はあるのか
ご紹介の前に、ぜひポチッとお願いします
ところで、皆さん、日本ではつい最近まで汲み取り式便所が主流でしたが、諸外国がどのような処理方法を行っているかご存知ですか
実は発展途上国や北欧などを中心に下水道以外の方法が古来より用いられており、現在でも形を変えて使用されています
これらの国々にとって、下水道や浄化槽というのは、先進国や国際支援を受けても、ごく一部の大都市以外には費用や技術面でも手の届かない難しいもの
しかし、日本のような、いったん貯めてから汲み取る、いわゆるボットン式は、汲み取りの手間や習慣的な面(宗教的理由など)でも行われてきませんでした。
それに変わって古くから取り入れられている方法が、汲み取り式でもない、浄化槽・下水道方式でもない、日本人の知らない新たな方法、それがエコサン(エコロジカルサニテーション)なんです
エコサンとは『生態系を考慮した衛生対策』を意味し、以下のように定義されています。
糞便の運搬媒体として水を利用しない
人のし尿を土壌改良および食糧生産のために再利用する
し尿は分離して収集する←病原体を完全に死滅させるため
伝統的に使われていた方法もあれば、それに改良を加えて新しく開発された技術や設備もあります。
中国や東南アジア、南米などで広く使われていますが、北欧やアメリカでも、数千台も普及している、新しく開発されたエコサンがあります
エコサンは、その処理方法によって、2つにわけることができます
以下、「エコロジカル・サニテーションの概念とわが国への応用について」、山田恵著よりご紹介です
脱水に基礎を置くシステム
尿と糞便を分離して収集し、糞便は加熱・換気・土や灰の投入によって、含水率を25%以下にするもの。これにより、病原菌は死滅し、臭いやハエの繁殖もしなくなります。
代表例

・並列貯槽脱水型トイレ(ベトナム)
(写真が少し見づらいですが・・・)これには2つの穴があり、それぞれ中には糞便専用のを貯蓄槽があります。尿がはこれとは別の溝にし、そこから尿を集める壺に流れこんでいきます。集積された糞尿はともに肥料としてつかわれています
特に、糞便は、トイレを使用する度に灰をかけ(水分吸収、悪臭・ハエの発生の防止)、1つの3/2までいっぱいになると、残る3/1に土を入れて蓋をし完全密閉します。
もう1つの槽を使用しているその間、蓋をされた方では肥料化が進むというわけです。これは、エコサンの古典例で、この概念は脱水を基礎と置くシステムの多くに用いられてきました

・WNエコローゲン(スウェーデン)
見た目は洋式トイレですが、
糞便と尿を分けて回収・処理すること(手前の受け口が尿、奥の黒い穴が糞便用)
尿を流す時だけ、洗浄水を流すこと(男性用公衆トイレと同じですね)
という点で異なります。尿はパイプを通って地下タンクに貯蔵され、肥料として使用されます
糞便とトイレットペーパーは便器の下の貯槽に別に回収され、いっぱいになった貯槽は6ヶ月ほど地下貯蔵所に保管した後、さらにコンポスト容器に移し2次処理や焼却処分されます
分解(堆肥化)に基礎を置くシステム
バクテリア、菌類、ミミズ、寄生虫などの生物を利用することによって有機物を分解し、堆肥化するというもの。そのためは、分解が行われやすい湿度(60%以上)と物質(窒素・炭素)を加える必要がある。湿気と窒素は尿(そのため糞尿の分離は行わない)、炭素はおが屑、野菜屑、麦わらなどを加えることにより適正環境を保つようにしています。
代表例
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・Clibus Multrum(スウェーデン)
50年以上前にスウェーデンで開発され、北米やオーストラリアなど、一般家庭や公共施設に1万台以上普及していると言われています
尿・糞便・家庭の生ゴミをまとめて処理するタイプです。
下の堆肥化槽の構造は様々ですが、基本的には日本の家庭の庭でも見られる生ゴミコンポストと同じで、充分に堆積した糞尿と生ゴミの山の中で、上から貯まり、下の古いそうが時間がたつにつれ堆肥化していくので、下から堆肥化したものを取り出し、肥料や土壌改良材として利用されています
このようにして作られる腐植土は一人当たり年間10~30リットル程度だそうです(意外と少ない気がしますが、分解が進むと塊は減量し、投入した量の10%未満にまでなるそうです)
・カルーセル(ノルウェー)
こちらもノルウェーで長年使用され、アメリカやスウェーデン、オーストラリア、ニュージーランドでも使用されています
(写真がお見せできないのが残念ですが・・・)な、なんと、トイレの下にある堆肥化槽が回転しちゃうんです
堆肥化槽は丸い大きな外部タンクとその中に少し小さい内部タンクがあり、さらに内部タンクは回転軸を中心に回転
内部タンクは4つに区切られており、1つが満杯になると回転し、次の槽へ・・・と糞尿が貯められていきます。すべての槽が満杯になるまで少なくとも1年はかかるように設計されており、その間に古い槽から徐々に堆肥化が進んでいくというものです。
これなら堆肥化が完了する前に使ってしまったという心配もありませんね
世界のトイレ事情を見てると、日本の肥溜めも含め、
何を肥料化するか(尿のみ、糞便のみ、全て一緒など)
どのように肥料化するか
の違いはありますが、全て『人糞を下肥として利用すること』が大前提となっています。
そこには、『下肥=危険、不衛生』という観念はありません
(人糞は危険か?!については、当ブログ・ヨネザワさん『コレラの流行も人間の排泄物が原因??』をどうぞ
)
そしてこれらの地域は、経済的側面や自然環境の面から、エネルギーを浪費できない国々がほとんどです
『日本人はウンチを処理するために、石油を輸入している?!』でも述べましたが、下水処理は大量の石油を消費しています。そして、石油だけでなく水も同様です
これらの水は、自然本来の循環系からは外れたところにあり、ただ浪費するためだけの水となります。これらの水を自然のろ過機能がもつ力と同様に綺麗にしようとすると、さらに大量のエネルギーを消費することになります
また、下肥を利用しなくなった日本や先進諸国では、変わりに大量の化学肥料や農薬が使用されていますが、これらももちろん、製造には多くのエネルギーを消費しているのです
発展途上国や自然環境の厳しい地域(北欧など)では、エネルギーを大量消費することができません(大量消費しようとすれば、オーストラリアの干ばつのような自体になりかねません)
だからこそ、自然の摂理に則った方法での自然エネルギーの循環のための技術が発達したとも言えます。
日本も、下水道が普及したのは、1970年の貧困の消滅以降のこと。そして今でも下水道=最先端の処理方法としてもてはやされています。
いくら水資源が豊富な日本とはいえ、河川のコンクリート舗装、上下水道の普及により、本来の循環系の水資源は少なくなってきています。
この状態が続くことにより発生し続ける大量のエネルギー消費→環境破壊に比べ、糞尿を水で流すことによって得られる清潔感はほんとに目先のことでしかないということが、世界のトイレ事情からもよくわかりますね
- by kasi1106
- at 23:48



し尿は分離して収集する←病原体を完全に死滅させるため
comments
実は、暫くアップもなかったし、糞尿(シリーズ)は、もう出尽くしたのかな(掛詞ではありません・・・失礼)?と思っていましたが、新たな展開素晴らしいですね。
またまた、非常に興味深い内容、感服致しました。
海外のトイレで素晴らしいと思っていたのは、トイレが豚小屋や池に直結していて、豚や魚が処理してくれるものでした。(これらについてもいつか調べて下さいますか?)
エコサン、と言う言葉ははじめて知りました。これらだったら、日本でも設置できますね。
下水道は早くやめないと大変なことになるでしょう。生態系の物質循環を断ち切っているわけですから・・・
私は、自分のブログでも述べているように生態系の循環で一番大切な(鍵となる)物質は糞尿だと思っています。
そのことを私のブログでも、繰り返しになってしまいますが、また描くべきだと思いました。またかっし~さんの記事をTBさせて戴いて、描いて宜しいでしょうか?
雑草Zさん、早速のコメントありがとうございます♪
待っていて下さる方がいらっしゃると思うと、こちらの張り合いがでます。
ぜひTBもお願いします!!
エコサンの一種として、日本では、「バイオトイレ」と呼ばれるものがあるんです!!現在は、一般家庭よりは、山岳や災害時など下水道が使えない場所で設置されています。
仕組みは、今回ご紹介した堆肥化型とほぼ一緒。
おが屑と人糞を混ぜて堆肥化をはかるというものです。
日本の場合、この≪バイオトイレ≫で検索をかけた方が、色々でてきます。
>トイレが豚小屋や池に直結していて、豚や魚が処理してくれるものでした。
についてですが、ブログで何度か少しだけ書いたことはあるのですが、まだまだ調べきれていない箇所なので、今後の追及課題に1つにさせて頂きますね☆
私も北海道の雪原に数週間だけ登場するビニールハウスのレストランに行ったときに、バイオトイレと出会いました~☆http://ishiyama.arch.waseda.ac.jp/www/jp/tokachisf.html
全然くさくないし、ボッとんともちょっと違うし、合理的な仕組みだな~と思った記憶があります^^
ちなみに、日本では、宇宙ステーションで使う技術の応用で、インフラフリーの住宅開発がされています。その中でもトイレをどうする?の部分は、確か今年度代々木公園で実験をする予算がついたとか・・・って聞いた気が。
※インフラフリーのトイレっていうことは、排泄物等の水分が循環して、飲料や他の目的に再利用される仕組みですね。http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/person/interview/070201_anilir/
TBの許可有難うございます。この記事だけでなく以前の記事もいくつかTBさせて戴きますね。・・・もう少しお待ちください。
私も山でバイオトイレは見たことがありますが、かなりコストがかかると聞きました。山に運び上げるコストなら仕方ありませんが・・ちょっと大掛かりな感じがして、改良の余地を感じました。私はてっきりCO2とH2Oまで分解してしまうのかと思いましたが、堆肥化型のほうが簡易でいいでしょうね。でも、出来た堆肥はどうするのでしょうね?
エコサンの中では、堆肥化型のほうが望ましく感じます。カルーセルが理想に近いと思ったのですが、ご紹介の中では最も大掛かりですね。外部からの投入エネルギーは必要ないのでしょうか?気になる部分です。
堆肥化型の場合、ミミズや菌類(キノコやカビ)は、いつ、どのように入れるかも興味深いところです。
考察しなければならないと思ったことは、堆肥化した場合、どの段階で畑などに入れるべきかということです。畑などの土の中にはミミズをはじめ小動物や微生物が沢山いたほうが好ましいでしょうから、彼らのえさになるのはどの段階までか・・・ある程度早い段階のほうが効果的な感じもします。
兎も角、本来糞尿はクリーンエネルギーですね(笑)。最後は、二酸化炭素と水になるわけですから・・・。下水処理などしなければ最終的に全く環境汚染になりません。(私のブログではこのような観点から描かせて頂きます。)
・・糞尿シリーズ色々出ましたが・・次の展開まだあります・・よね?・・・楽しみにしております。
>たかなさん
住宅開発の中で、ある程度下水道とう形で確立されているかのうように見えるトイレについて、「どうする?!」がでてくること自体、きっと「このままじゃヤバイ!!」と思っている人が、たくさんいるってことですよね。
貴重な情報ありがとうございます。
>雑草Zさん
雑草Zさんから頂いた疑問点
・できた堆肥の使い道は?
・カルーセル、外部からの投入エネルギーは必要?
・下肥のできるまでの期間は?
全部、私も疑問に思ってるところなんです!!
堆肥化の方法がいろいろあって、多く実践されていることもわかったけど、農地も縮小しているし、需要と供給はあっているのか?
そもそもどうやって農地まで持ってくるの?
などなど、気になるところがいっぱいです♪
さらに、大前提として、『食生活が変わり、身体も変わってしまった現代人から出される人糞で、本当に昔の下肥のような効果は得られるのか?!』も疑問ですね。
そちらの方からも、一度検討の余地がありそうですね☆
読ませていただいて、頭のモヤモヤがすっきりしました!
わたし、犬数匹と生活してるんですが
常日頃、世間一般の犬の糞処理方法に疑問を感じています。 散歩中、道端に落とした糞尿を取り除いた後、さらに地面をペットボトルの水で洗い流せなどと、指導している人もいます。
自分の犬ブログにも書いたんですが、夏期、庭に糞を放っておくと、あっという間に食糞昆虫が糞を分解して粉々にしてくれるんですよ。
普段は、果樹の根元に枯葉と土と混ぜて埋めておきますと、おいしいみかんが採れて喜んでいます。
地域によっては、犬の散歩コースに
微生物発酵による糞処理用のゴミ箱を設置しているところもあるらしいです。
http://www.nhk.or.jp/gokinjo/faq/funtori/inu_toile.html
こういうのも、エコサンですよね?
広まってほしいなあ・・・
>ぐうびるこさん
コメントありがとうございます♪
ぐうびるこさんのブログ、見させて頂きましたが、ほんとすごいミカンですね!!
昔は、糞の他にも、生ゴミなど、普通に庭の苗木や家庭菜園にやっていましたよね~
『ペットボトルの水で流して…』というのも、感染などのこともあるのでしょうが、臭いを異常に嫌う、清潔志向もあるように思います。
ご紹介頂きました微生物発酵による糞処理用のエコサン、街の花壇等に使われているとのことですが、実際の農業に活かせば、びーぐるこさん宅のミカンような立派なものができるのかも?!
野菜の栄養価が低くなっていると聞きますが、解決の糸口になるかもしれませんね☆
「出来た堆肥の使い道」は、生態系の物質の循環という意味でも、絶対に農地に使うべきですね。
私が、「出来た堆肥はどうするのでしょうね?」と言ったのは、山のバイオトイレで作られた堆肥のことです。山ではあまり必要ありませんからわざわざ下ろすのでしょうか?ってことです。(笑)・・こういう場所はCO2とH2Oまで分解するほうがいいのかも知れないけれど、設備が大げさになるのは良くないですね・・
確かにかっし~さんのおっしゃるように、農地に遠い場所で出来た堆肥の使い道とか、需要と供給の関係を考えると堆肥の使い道に困りそうですね。だからやはり食料は自給率100%で地産地消でなければならないとつくづく思います。それが自然の摂理に沿ってます。
現代日本人の人糞は、輸入した食糧を食べている事もあってかなり栄養過多らしいです。(へんな人口物質も入っているかも知れませんが・・)だから、家畜の糞尿も含めれば糞尿だけ使えば他の肥料は一切不要どころか、沢山余ってしまうそうです。
その分貧しい東南アジアなどの食料輸出国の人糞は栄養不足で化学肥料を購入して投入しなければならないので、ますます、人々は貧しくなり、土地は痩せていくという悪循環だそうです。だから、繰り返しますが、地産地消と小さな地域毎の自給自足は、社会が持続するための必要条件でしょう・・
かっし~さんの記事は本日付けのブログでTBさせて戴きました。
http://zassou322006.blog74.fc2.com/blog-entry-134.html